引っ越し費用は総額いくら?相場と初期費用の内訳・特別費としての備え方

引っ越し費用の相場と初期費用の内訳をまとめたアイキャッチ画像

引っ越しは、家計にとって数十万円単位の大きな特別費です。しかも「引っ越し業者に払うお金」は総額の一部にすぎません。賃貸の初期費用、家具・家電の買い替え、インターネットの工事費、不用品の処分費、住所変更の手数料——これらを積み上げると、業者代の何倍にもなります。さらに3月・4月は料金が通常期の約1.5倍。この記事では、引っ越しにかかるお金を項目ごとに整理し、時期による差を含めて「特別費」として備える方法を解説します。

目次

引っ越し費用は「業者代」だけではない

引っ越しの総額は、大きく4つのかたまりに分かれます。

かたまり 主な中身 目安の規模
① 引っ越し業者への支払い 荷造り・運搬・エアコン移設 4万〜17万円
② 新居の契約にかかるお金 敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・火災保険・鍵交換 家賃の4〜6か月分
③ 買い替え・買い足し 家具・家電・カーテン・照明 数万〜数十万円
④ 手続きと後始末 ネット工事費・不用品処分・住所変更の手数料 2万〜5万円

①だけを見積もって「10万円くらいかな」と考えていると、実際にはその3〜5倍かかることになります。順番に見ていきましょう。

① 引っ越し業者への料金相場

引越し侍(株式会社エイチームライフデザイン)が同社サービス利用者の見積もりを集計した相場は次のとおりです。

世帯 通常期(5〜2月) 繁忙期(3・4月) 差
単身 38,280円 61,000円 約1.6倍
2人家族 70,000円 100,000円 約1.4倍
3人家族 76,000円 119,900円 約1.6倍
4人家族 80,000円 130,000円 約1.6倍

出典:引越し侍「引越し料金相場の早見表」(2025年3月更新)。公的統計ではなく、同社サービス利用者へのアンケートの自社集計による平均値です。

距離が延びるとさらに上がります。単身の場合、15km以内なら34,760円ですが、500km以上では120,000円。2人家族の500km以上は300,000円という集計になっています。

3月・4月がなぜそこまで高いのか

ここは公的統計がはっきり物語っています。総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」の2025年の市区町村間移動者数を月別に並べると、次のようになります。

月 移動者数 月平均比
3月 905,179人 2.09倍
4月 683,859人 1.58倍
7月 398,417人 0.92倍
1月 327,312人 0.76倍
11月(最少) 309,853人 0.72倍

出典:「住民基本台帳人口移動報告」(総務省統計局)2025年の各月結果より作成。同一市区町村内の引っ越しは含みません。

3月は最も少ない11月の約2.9倍、月平均の約2.1倍。3月と4月の2か月だけで年間の移動者の30.6%を占めます。逆に言えば、3〜4月以外はどの月も月平均の0.7〜0.9倍のレンジに収まっており、繁忙期は本当にこの2か月だけです。時期を1か月ずらせるなら、それだけで数万円が変わります。

② 賃貸契約の初期費用

新居が賃貸の場合、契約時にかかるのは次の7項目です。

  • 敷金……退去時の原状回復や家賃滞納にあてる預け金
  • 礼金……貸主へのお礼。返ってきません
  • 仲介手数料……不動産会社への手数料
  • 前家賃……入居する月(と翌月分)の家賃
  • 日割り家賃……月の途中で入居する場合
  • 火災保険料……2年契約でまとめて支払うのが一般的
  • 鍵交換代・保証会社利用料

合計で家賃の4.5〜5.5か月分を見ておくべき、という目安が不動産事業者の解説では一般的です。ただしこれは公的な統計ではなく、実際には礼金ゼロ・敷金1か月といった物件も多いため、幅で考えておくのが現実的です。

仲介手数料には法律で上限がある

初期費用のうち、唯一はっきりとした法的な上限があるのが仲介手数料です。宅地建物取引業法第46条にもとづく国土交通省(旧建設省)告示第1552号により、次のように定められています。

  • 貸主・借主から受け取る合計の上限は、借賃の1か月分×1.1(消費税込み)
  • 居住用の建物では、一方から受け取れるのは原則として借賃の0.55か月分まで(=0.5か月分+税)。1か月分を請求できるのは、媒介の依頼を受けるにあたって承諾を得ている場合に限られます

出典:宅地建物取引業法 第46条第1項/「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号、最終改正 令和6年国土交通省告示第949号)。0.55か月分の制限は居住用建物のみで、事務所・店舗には適用されません。

「仲介手数料は家賃1か月分が当たり前」と思われがちですが、本来は事前の承諾があってはじめて1か月分になる、というのが法律の建て付けです。契約前に確認しておく価値があります。

③ 買い替え・買い足しの費用

引っ越しは、家電の買い替えが一気に発生するタイミングでもあります。とくに間取りが変わると、それだけで買い替えが必要になるものがあります。

  • カーテン……窓のサイズが変われば使い回せません
  • 照明器具……備え付けでない部屋の場合
  • エアコン……部屋数や畳数が変わると容量が合わない
  • 冷蔵庫・洗濯機……設置スペースの寸法が合わないことがある

ここでよくある失敗が、「引っ越しを機に、寿命が近い家電もまとめて買い替えてしまう」ことです。引っ越しの出費と家電の買い替えが同じ月に重なると、家計への衝撃が一気に倍になります。家電の寿命と買い替え費用の目安は家電の買い替え費用は年間いくら?主要家電の寿命の目安と特別費としての備え方にまとめているので、引っ越し前に「本当に今すぐ替えるべきか」を一度確認することをおすすめします。

エアコンの移設費

今のエアコンを持っていく場合の費用の目安は、取り外し・輸送・取り付けを合わせて15,000〜30,000円。配管を4m以上延長する場合は1mあたり3,000〜4,000円、配管カバーは14,000〜20,000円、エアコン用コンセントの新設は10,000〜20,000円が追加でかかります(引越し侍による目安)。移設費が3万円を超えるなら、買い替えたほうが安いこともあるという判断ラインになります。

📅 年間の特別費を見える化するアプリ「特別費カレンダー」

引っ越し・家電の買い替え・車検・帰省など、年単位で発生する出費をまとめてカレンダーに並べて見える化。同じ月に出費が重なっていないかが一目でわかり、毎月の積立額も自動で計算します。口座連携は不要、まずは無料でお試しください。

▶ 特別費カレンダーを無料で使ってみる

④ 見落としやすい手続き費用と処分費

インターネット回線の工事費

回線 引っ越し・新規の工事費(税込)
NTT東日本 フレッツ光ネクスト(屋内配線工事あり・HPから申込) 22,000円
同(屋内配線工事なし) 11,660円
ドコモ光・ahamo光(2026年6月1日申込分〜) 28,600円
解約時の撤去工事(NTT東・戸建) 13,200円

出典:NTT東日本 公式サイト(2026年8月時点)/NTTドコモ「【ドコモ光・ahamo光】工事料改定及び新規工事料実質0円特典の進呈時期変更のお知らせ」(2026年4月23日)。土日休日の工事は+3,300円。

ドコモ光の工事料は2026年6月1日申込分から値上げされています。ネット上の記事の多くはまだ改定前の「16,500円/19,800円」と書いているので、必ず公式サイトで最新の金額を確認してください(なお、実質0円になる特典が別途用意されています)。

不用品の処分費

家電リサイクル法の対象4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)は、粗大ごみに出せません。リサイクル料金は次のとおりです。

品目 リサイクル料金(税込)
エアコン 550円 または 990円(メーカーによる)
テレビ(液晶・有機EL) 小 1,870円/大 2,970円
冷蔵庫・冷凍庫 170L以下 3,740円/171L以上 4,730円
洗濯機・衣類乾燥機 2,530円

出典:一般財団法人家電製品協会 家電リサイクル券センター「リサイクル料金一覧表 2026年4月版」。主要メーカーの料金で、一覧にないメーカーは指定法人料金(エアコン2,000円など)となります。別途、収集運搬料金が必要(小売業者ごとに設定)。自分で指定引取場所へ持ち込めば収集運搬料金はかかりません。

4品目をまとめて処分すると、リサイクル料金だけでおおむね1.2万〜1.4万円+収集運搬料金。加えて粗大ごみの処理手数料がかかります(東京都新宿区の例では400円〜3,200円の5段階。自治体ごとに完全に別の体系です)。

住所変更の手数料

手続き 費用
転出届・転入届・転居届 無料
住民票の写し 1通300円が多数派(コンビニ交付はさらに安い自治体も)
運転免許証の住所変更 無料
車庫証明(保管場所証明)の申請 東京都:窓口2,400円/電子申請2,300円
車検証の住所変更(変更登録) 窓口500円/OSS 450円

出典:警視庁(免許証・車庫証明)/国土交通省 自動車登録ポータルサイト「登録・検査手数料一覧表」。車検証の変更登録手数料は2026年4月1日に350円から500円へ改定されています。車庫証明の手数料は都道府県の条例で定めるため金額が異なります。

金額としては小さいものの、マイナ免許証のみを持っている人は、市区町村への住所変更届だけで免許証の手続きが完結する(マイナポータル連携によるワンストップサービス)など、制度が変わっている点は知っておくと手間が減ります。

引っ越し費用を特別費として備えるコツ

予定が決まっていなくても「枠」だけ作っておく

引っ越しは、入学や車検と違っていつ来るか読めない特別費です。転勤の内示は、実際の異動の1〜2か月前ということも珍しくありません。3月に内示が出て4月に引っ越すとなると、まさに料金が最も高い時期に、貯める時間がないまま数十万円が必要になります。

だからこそ、賃貸住まいや転勤の可能性がある家庭では、「引っ越し予備費」という枠を年間の特別費のなかに置いておくのが有効です。使わなければ翌年に繰り越せばよく、使うことになったときには最悪の事態を避けられます。

時期を選べるなら、3〜4月を外す

前述のとおり、繁忙期は本当に3月と4月だけです。5月・11月にずらせるなら、業者代だけで数万円が変わります。進学や転勤で時期が固定される場合は動かせませんが、更新のタイミングで引っ越す場合などは、まず「何月にするか」から考える価値があります。

引っ越し費用に関するよくある質問

Q. 引っ越しの総額はいくら見ておけばいい?

家賃10万円の物件に、家族4人で通常期に引っ越す場合の一例は、業者代8万円+契約の初期費用45万〜55万円+買い足し10万円+工事や処分費で3万円=およそ70万円前後。単身で家賃6万円・通常期なら、業者代4万円+初期費用27万〜33万円+買い足しで、40万円前後が目安になります。金額の幅が大きいので、必ず自分の条件で計算してください。

Q. 見積もりはいつ取ればいい?

繁忙期はそもそも予約が埋まるため、3〜4月に引っ越すなら1〜2月には動き始めるのが安全です。ここでも「お金が動くのは引っ越しの月ではなく、その前の月から」という原則が当てはまります。

Q. 敷金は戻ってくる?

敷金は預け金なので、原状回復にかかった費用を差し引いた残りが返還されるのが原則です。ただし返還は退去後1〜2か月後になることが多く、新居の初期費用には間に合いません。「敷金が返ってくるからその分は差し引いて考える」というやりくりは、タイミング的に成立しないので注意してください。

まとめ|引っ越しは「業者代の3〜5倍」で考える

引っ越しの総額は、業者への支払いだけを見ていると必ず読み違えます。実際には賃貸の初期費用が最も大きく、そこに買い足し・工事費・処分費・手数料が積み上がります。しかも移動が集中する3月・4月は料金が約1.5倍。移動者数で見ると、3月は最も少ない11月の約2.9倍です。

読めない出費だからこそ、年間の特別費のなかに「引っ越し予備費」の枠を先に置いておく。これが、突然の内示にも慌てない唯一の準備です。

📅 年間の特別費を見える化するアプリ「特別費カレンダー」

冠婚葬祭・税金・車検・帰省・引っ越しなど、年単位で発生する出費を1月1日にまとめて見える化。毎月いくら積み立てればいいかを自動で計算してくれるので、「気づいたら家計がピンチ」を防げます。口座連携は不要、まずは無料でお試しください。

▶ 特別費カレンダーを無料で使ってみる

※本記事は家計の計画・見える化を目的とした情報提供であり、金融商品の勧誘や投資助言ではありません。掲載の金額はすべて目安です。統計値・手数料は執筆時点(2026年8月)のものを参照しています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

特別費カレンダー 企画・運営者。「毎月きちんと家計簿をつけているのに、車検や税金、帰省が重なる月に家計がドカンと狂う」という自身の経験から、月次家計簿に乗らない“年単位の出費(特別費)”を1月1日に見える化し、毎月の積立額を自動計算するアプリ『特別費カレンダー』を開発しました。むずかしい家計管理を、だれでも無理なく続けられる形にすることをテーマに、特別費の考え方・年間スケジュールの立て方・積立のコツをわかりやすく発信しています。

コメント

コメントする

目次