葬儀費用の平均はいくら?家族葬・一般葬の形式別相場と葬祭費・埋葬料、特別費としての備え方【2026年版】

家計の机にカレンダー・貯金箱・白い花を並べた穏やかな様子

葬儀費用は、全国平均で約110万円(お布施は別に約20万円台)といわれます。ただし、いつ必要になるか分からない一方で、いざという時には数日以内にまとまった金額が動く、家計にとってもっとも「準備しにくい特別費」のひとつです。この記事では、鎌倉新書「お葬式に関する全国調査」や日本消費者協会の調査、国税庁・協会けんぽ・自治体の公表情報をもとに、葬儀費用の平均・形式別の違い・内訳、もらえるお金(葬祭費・埋葬料)、相続税の控除、そして毎月いくら備えておけば慌てずに済むかを、家計管理の視点でまとめました。

デリケートな話題ですが、「費用の全体像を先に知っておくこと」は、ご家族への思いやりでもあります。落ち着いて読める今のうちに、数字の目安をつかんでおきましょう。なお、掲載の金額はすべて調査時点の目安で、地域・葬儀社・宗派・参列者数で大きく変わります。

この記事でわかること:①葬儀費用の全国平均と内訳 ②形式別(一般葬・家族葬・一日葬・直葬)の費用差 ③葬儀後に続く費用 ④葬祭費・埋葬料などの給付 ⑤相続税の控除 ⑥費用を抑える方法 ⑦特別費としての積立額

目次

葬儀費用の全国平均は?総額約110万円とお布施の目安

白いユリと段々に積まれたコインのイラスト

株式会社鎌倉新書が2022年に実施した「第5回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀費用の総額(基本料金・飲食費・返礼品の合計)の平均は110.7万円でした。内訳は、基本料金が67.8万円、飲食費が20.1万円、返礼品が22.8万円です。これとは別に、僧侶などへ渡すお布施の平均は22.4万円と報告されています。

つまり、お布施まで含めると、手元から出ていく現金は「約130万円前後」をひとつの目安として見ておくのが現実的です。一方、香典(受け取る側)の平均は47.2万円とされ、費用の一部は香典で賄えるケースもあります。ただし、香典は葬儀の形式や参列者数によって大きく変わり、家族葬では香典を辞退することも多いため、「香典が入るから大丈夫」と見込みすぎないのが安全です。

調査の取り方によって平均値は変わります。たとえば日本消費者協会の調査(2017年・通夜からの飲食接待費30.6万円、葬儀一式費用121.4万円、寺院へのお布施47.3万円、合計195.7万円)は、一般葬の比率が高い時期の数字で、金額が大きく出ています。近年は家族葬が過半数を占めるようになったため、費用の平均は下がる傾向にありますが、「平均=自分の家の金額」とは限りません。複数の調査を見比べて、幅を持って考えることが大切です。

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形式別(一般葬・家族葬・一日葬・直葬)の費用の違い

規模の異なる4つの式場と灯りを並べたイラスト

葬儀費用を大きく左右するのが「どの形式で行うか」です。2022年調査での形式別の割合は、家族葬が55.7%、一般葬が25.9%、直葬・火葬式が11.4%、一日葬が6.9%でした。いまや家族葬が主流になっています。

形式別の費用は、同じ鎌倉新書の2020年調査(葬儀費用・飲食費・返礼品の合計)が次のとおりです。調査回によって集計の仕方が異なるため、先ほどの2022年の平均(110.7万円)と単純には比べられませんが、「形式ごとの差の大きさ」をつかむ参考になります。

形式 特徴 費用の目安(2020年調査・お布施別)
直葬・火葬式 通夜・告別式を行わず火葬のみ 約80万円
一日葬 通夜を省き、告別式と火葬を1日で行う 約135万円
家族葬 家族・親族など近い人だけで行う 約137万円
一般葬 友人・知人・会社関係まで広く参列 約240万円

ここで押さえたいのは、「家族葬だから安い」とは限らない点です。家族葬は参列者が少ない分、飲食費や返礼品は抑えられますが、会場・祭壇・搬送などの基本料金は規模に関わらず一定程度かかります。また、参列者が少ないと香典も少なくなるため、実質の自己負担額は、一般葬と大差ないケースもあります。形式を決めるときは、総額だけでなく「香典を含めた実質負担」で考えると判断しやすくなります。

どの形式を選ぶかは、故人の意向、ご家族の考え、親族との関係性で決まります。費用だけで決めず、「どんなお見送りにしたいか」を先に話し合っておくと、後悔の少ない選択につながります。

葬儀費用の内訳|基本料金・飲食費・返礼品・お布施に分けて理解する

円グラフ状に分けたコインと封筒・ギフトの内訳イメージ

葬儀費用は大きく4つに分けて考えると、見積書を読み解きやすくなります。

① 基本料金(葬儀一式):斎場の利用料、祭壇、棺、遺影、骨壺、火葬場の利用料、霊柩車・搬送費、スタッフの人件費などです。平均は約67.8万円(2022年調査)。葬儀社のプランに含まれる範囲は会社ごとに違うため、「どこまでが込みか」の確認が最重要です。

② 飲食費:通夜ぶるまいや精進落としなどの食事代で、平均は約20.1万円。人数に比例して増減するため、参列者数の見込みがそのまま金額に響きます。

③ 返礼品:会葬御礼品や香典返しにあたるもので、平均は約22.8万円。香典の額に応じて後から追加でかかる場合もあります。

④ お布施:読経料・戒名料・お車代・御膳料など。平均は約22.4万円とされますが、宗派・地域・寺院との関係で幅があります。神式では祭祀料、キリスト教式では献金と呼び方が変わります。お布施は「定価」がなく、金額を決めにくい項目なので、事前に葬儀社や寺院へ相談しておくと安心です。

項目 金額の目安(2022年調査の平均) ポイント
基本料金 約67.8万円 プランの「含まれる範囲」を必ず確認
飲食費 約20.1万円 参列者数で増減する
返礼品 約22.8万円 香典の額に応じて追加になることも
お布施 約22.4万円(別) 宗派・地域で幅がある。事前相談が安心
合計(お布施込み) 約133万円 総額の目安は「約130万円前後」

見積書でよくあるトラブルは、「基本プランは安いのに、実際は追加費用で膨らむ」ケースです。ドライアイス・安置日数の延長・式場の延長利用・参列者増による飲食費の追加などは、後から加算されやすい項目です。見積もりの段階で「追加になりやすい項目は何か」を質問しておくだけで、想定外の出費をかなり防げます。

葬儀の後も続く費用|四十九日・納骨・一周忌までの流れ

カレンダーの上に続く飛び石と灯籠で葬儀後の費用の流れを表したイラスト

葬儀費用だけで安心してはいけません。葬儀の後にも、法要・納骨・お墓や仏壇の準備など、時期をおいて出費が続きます。家計の年間計画に入れるなら、「いつ・何が発生するか」の見通しが重要です。

時期 主な出費 目安金額(参考)
逝去〜葬儀当日(数日以内) 基本料金・飲食費・返礼品・お布施 約110万円+お布施約22万円
葬儀直後〜2週間 役所・各種名義変更の手続き費用、会葬礼状・お礼 数千円〜数万円
四十九日(約1.5か月後) 法要のお布施・会食・引き出物・納骨 数万円〜十数万円
納骨・お墓の準備 墓石・墓地、永代供養、納骨堂など 数十万円〜(選び方で大きく変動)
初盆・新盆 お布施・供物・親族の会食 数万円〜
一周忌(1年後) 法要のお布施・会食・引き出物 数万円〜十数万円

法要の費用については、法事の費用はいくら?お布施・会食・引き出物の相場と積立術で、お盆の費用についてはお盆の費用はいくら?で詳しくまとめています。葬儀の費用に加えて、1年目はこうした法要が重なることを見込んでおくと、家計の計画がずっと立てやすくなります。

また、見落としがちなのが「お墓・納骨」の費用です。お墓を新しく建てる場合は大きな金額になりますが、永代供養墓や納骨堂、樹木葬など選択肢が増えており、費用の幅も広がっています。葬儀の見積もりと同時に、納骨先も検討しておくことをおすすめします。

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もらえるお金|葬祭費・埋葬料・家族埋葬料の申請方法

役所の窓口で給付金の封筒を受け取る場面のイラスト

葬儀の費用負担を軽くしてくれるのが、公的医療保険からの給付です。加入していた保険の種類によって、名称・金額・申請先が変わります。

加入していた保険 給付の名称 金額の目安 申請先
国民健康保険 葬祭費 自治体で異なる(例:長野市は5万円) 市区町村の国保担当窓口
協会けんぽ 埋葬料/家族埋葬料/埋葬費 5万円(埋葬費は5万円を上限に実費) 協会けんぽの各支部
健康保険組合など 埋葬料(家族埋葬料) 組合による(多くは5万円) 加入している組合

国民健康保険の「葬祭費」は、亡くなった方が国保の被保険者だった場合に、葬儀を行った人(喪主)が申請します。長野市の案内では支給額は5万円、申請期間は葬祭後2年間とされています。自治体によって金額が異なり、東京23区のように7万円前後とする自治体もあるため、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。申請には、本人確認書類、喪主の振込先口座が分かるもの、申請書(葬祭の領収書などが必要な場合もあり)が必要です。

協会けんぽの「埋葬料」は、被保険者が亡くなった場合に、生計を維持されていた方へ5万円が支給されます。該当者がいない場合は、実際に埋葬(葬儀)を行った方に「埋葬費」として5万円を上限に実費が支給されますが、飲食費などは含まれません。被扶養者が亡くなった場合は「家族埋葬料」として被保険者に5万円です。必要書類は、埋葬料(費)支給申請書、死亡を証明する書類、場合によって生計維持関係の書類や葬儀費用の領収書です。

いずれも「自分で申請しないと受け取れない」制度です。申請には期限があるので、葬儀の領収書は必ず保管し、落ち着いたら早めに手続きしましょう。会社員の場合は、勤務先の総務担当が窓口になってくれることもあります。なお、経済的に困難な場合は、生活保護の葬祭扶助という制度もあります(基準額は、2023年10月時点で大人21.2万円以内)。

相続税の計算で「葬式費用」を差し引ける?控除できるもの・できないもの

領収書の束・ファイル・電卓・虫眼鏡を並べた机のイラスト

相続税の申告が必要になる場合、葬儀にかかった費用の一部は、遺産総額から差し引くことができます。国税庁の案内によると、控除できる費用と、できない費用は次のとおりです。

区分 具体例
控除できる 火葬・埋葬・納骨の費用/遺体や遺骨の回送費用/お通夜など葬式の前後に生じた費用で通常葬式に欠かせないもの/お寺などへの読経料などのお礼
控除できない 香典返しの費用/墓石・墓地の購入費、墓地の借り賃/初七日など法事の費用

ポイントは、「領収書やメモを残しておくこと」です。お布施のように領収書が出ない支出も、日付・相手・金額を書き留めておけば、申告の際の根拠になります。葬儀後は慌ただしく、書類を紛失しがちなので、専用のクリアファイルを一つ用意して、請求書・領収書・見積書をまとめておくと安心です。

相続税がかかるかどうかは、遺産の総額や相続人の数によって決まります。多くの家庭では相続税の対象にならないことも多い一方、「控除できるかもしれない費用」を把握しておくことは、いざというときの備えになります。具体的な判断は、税務署や税理士など専門家に相談してください。

葬儀費用を抑える6つの方法|後悔しないために見直したいポイント

3枚の見積書を虫眼鏡で見比べるイラスト

葬儀は「安ければよい」ものではありませんが、納得のいく範囲で費用を整えることは可能です。ここでは、金融機関のコラムなどでも紹介されている、実務的な6つの方法を整理します。

① 複数の葬儀社から見積もりを取る:同じ規模でも、会社によって含まれる内容が違います。可能なら事前に2〜3社で見積もりを比較すると、費用の妥当性が判断しやすくなります。

② 葬儀の規模・参列者数を見直す:一般葬から家族葬・一日葬へと規模を絞ると、飲食費や返礼品が連動して下がります。

③ 飲食・葬祭用品のグレードを見直す:料理の品数、棺や祭壇のグレードは、希望に合わせて調整できる部分です。

④ 香典を費用の一部に充てる:受け取る香典の平均は約47.2万円とされます。ただし、家族葬では辞退する場合も多く、前提にしすぎないのが安全です。

⑤ 公的給付を忘れずに申請する:葬祭費・埋葬料は数万円ずつですが、申請しなければ受け取れません。

⑥ 領収書を保管し、相続税の控除に備える:控除できる費用を漏らさず記録しておきましょう。

なお、「事前相談」は、費用を抑えるうえで効果的です。落ち着いて比較できる時期に、地域の葬儀社や自治体の窓口で相談しておけば、いざというときの選択がぐっと楽になります。反対に、急ぎの中で最初に紹介された葬儀社のプランをそのまま受け入れると、総額が膨らみやすい傾向があります。

葬儀に「参列する側」の費用も、年間の特別費として意外と大きな割合を占めます。香典の相場は香典の相場はいくら?関係別・年齢別の早見表、礼服の準備は礼服・喪服の購入費用はいくら?、冠婚葬祭全体の平均は冠婚葬祭費の平均は年間いくら?もあわせてご覧ください。

葬儀費用を「特別費」として備える|毎月の積立額と考え方

貯金箱に毎月コインを入れてカレンダーの芽が育つイラスト

葬儀費用は、「いつ」「いくら」が読みにくいため、特別費の中でも「予備費寄りの特別費」として扱うのが現実的です。毎年必ず発生する特別費(税金・保険・帰省など)は「年額÷12」で積み立てますが、葬儀のように時期が不明な出費は、「目標額を決めて、期限を区切って貯める」という考え方が向いています。

手順は3ステップです。①目標額を決める(お布施込みで約130万円を目安に、ご家族の状況に合わせて調整)。②香典・葬祭費・埋葬料でまかなえる分を引く。③残りを、貯める年数で割る。たとえば、目標が100万円なら、次のように毎月の積立額が決まります。

備えたい金額 貯める期間 毎月の積立額(目安)
50万円 10年(120か月) 約4,200円
100万円 10年(120か月) 約8,300円
100万円 5年(60か月) 約16,700円
150万円 10年(120か月) 約12,500円

もちろん、すべてを現金で用意する必要はありません。「普通預金とは別の口座に目的別でためる」「ボーナスの一部を回す」など、無理のない方法で進めましょう。管理のコツは、特別費は毎月いくら積み立てる?世帯別の目安と計算方法や特別費の積立のやり方で詳しく解説しています。特別費の全体像は特別費とは?をご覧ください。

また、葬儀を想定した備えのひとつとして、「万が一のとき、家族が口座や契約の場所を分かるようにしておく」ことも大切です。通帳・保険証券・加入している健康保険の種類などを一覧にしておくだけで、残された家族の負担は大きく軽くなります。

まとめ|葬儀費用は「知っておく」ことが最大の備え

窓辺で寄り添い家計のノートを見る家族の後ろ姿のイラスト

この記事のポイントを整理します。

葬儀費用の全国平均は約110.7万円(基本料金・飲食費・返礼品)、お布施は別に約22万円が目安です。形式は家族葬が過半数となり、直葬から一般葬まで費用差は大きくなっています。葬儀の後にも、四十九日・納骨・一周忌と出費が続くため、年間の家計計画の中に位置づけておくと安心です。

一方で、国保の葬祭費や協会けんぽの埋葬料といった公的給付、相続税の葬式費用控除など、「知っておけば負担が軽くなる制度」もあります。いずれも自分で申請・記録しなければ活かせないため、領収書は必ず保管してください。そして、備えは「目標額÷期間」でシンプルに。毎月数千円からでも、始めておくことで気持ちの余裕が変わります。

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参考にした情報源(一次情報)

本記事に掲載の金額は目安であり、各情報源の確認時点(調査年)の内容に基づいています。最新の制度や金額は、必ずご自身で各窓口にご確認ください。

※本記事は家計の計画・見える化を目的とした情報提供であり、金融商品の勧誘や投資助言ではありません。掲載の金額はすべて目安です。

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この記事を書いた人

特別費カレンダー 企画・運営者。「毎月きちんと家計簿をつけているのに、車検や税金、帰省が重なる月に家計がドカンと狂う」という自身の経験から、月次家計簿に乗らない“年単位の出費(特別費)”を1月1日に見える化し、毎月の積立額を自動計算するアプリ『特別費カレンダー』を開発しました。むずかしい家計管理を、だれでも無理なく続けられる形にすることをテーマに、特別費の考え方・年間スケジュールの立て方・積立のコツをわかりやすく発信しています。

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