自賠責保険とは?全員が入る強制保険の基本と補償の範囲

自賠責保険(正式名称:自動車損害賠償責任保険)は、公道を走るすべての自動車・バイク(原付を含む)の持ち主に加入が義務づけられている「強制保険」です。交通事故の被害者を救うことが目的で、万一の事故のときに最低限の補償を確実に届ける仕組みとして、法律(自動車損害賠償保障法)で定められています。
家計の目線で押さえておきたいのは、自賠責保険は任意で入る自動車保険(任意保険)とは別のものだという点です。任意保険は毎年の更新で保険料を払う家庭が多い一方、自賠責は車検のタイミングで2年分(または25か月分)をまとめて払うのが基本。新車を買うときは3年分(37か月分)をまとめて払います。つまり、毎月の引き落としで気づきにくいぶん、「ある月にドンと出ていく特別費」の性格が強い出費なのです。
自賠責保険で補償されるもの・されないもの
自賠責保険の補償は「事故の相手方(被害者)の人身損害」に限られます。支払限度額の目安は、被害者1人あたり、死亡で最高3,000万円、後遺障害で最高4,000万円(程度により等級別)、傷害で最高120万円です。一方で、次のものは自賠責の対象外です。
- 相手の車や建物・ガードレールなどの物の損害(物損)
- 運転していた自分自身のケガや、自分の車の修理費
- 被害者への賠償額が上記の限度額を超えた部分
この不足分を埋めるのが任意保険です。自賠責は「最低限の土台」、任意保険は「その上に積む安心」と考えると整理しやすくなります。任意保険の年間費用の目安は自動車保険は年間いくら?年代別の相場と特別費としての備え方で詳しくまとめています。
誰がいくら払うのか
自賠責の保険料は、車の種類(自家用乗用車・軽自動車・バイクなど)と契約期間で決まる全国共通の基準で、保険会社や代理店を変えても金額は基本的に同じです(沖縄県と離島は別料金)。「安い店を探して節約する」ことができないぶん、家計ではいつ・いくら出ていくかを事前に知って備えることが最大の対策になります。
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2026年11月から自賠責保険料が値上げ|新旧の保険料を比較

2026年4月30日の金融庁の審議会の結果などで示されたとおり、自賠責保険料は2026年11月から全車種平均で6.2%引き上げられます。家計への影響が気になる方も多いはずです。ここでは、最も利用者の多い自家用乗用自動車(離島以外、沖縄県を除く地域)の新旧保険料を比べてみましょう。
| 契約期間(主な場面) | 現行の保険料 | 11月からの保険料 | 増額 |
|---|---|---|---|
| 24か月(継続車検時) | 17,650円 | 18,560円 | +910円 |
| 25か月(継続車検時) | 18,160円 | 19,070円 | +910円 |
| 37か月(新車購入時) | 24,190円 | 25,180円 | +990円 |
※自家用乗用自動車、離島以外(沖縄県を除く)の目安。出典:金融庁の審議会資料、JAF Mateの解説などをもとに作成。実際の金額は車検を受ける整備工場や保険会社でご確認ください。
24か月契約で見ると、17,650円から18,560円へと+910円(約5.2%)。1年あたりに直すと、約8,825円が約9,280円になる計算で、年間では約455円、月あたりでは約38円の負担増です。金額だけ見ると「そこまで大きくない」と感じるかもしれません。ただ、車検のたびに積み重なり、新車の購入時(37か月)には990円増えるため、1台を10年乗れば合計で数千円単位の差になります。
なぜ値上げされるのか
引き上げの背景として、審議会などでは主に次の点が挙げられています。
- 交通事故そのものは減少してきたが、減少が下げ止まりつつある
- 医療費の増加などで、事故1件あたりの保険金の支払額が増える傾向にある
- 保険会社・代理店の運営コストが賃金や物価の上昇の影響を受けている
- これまで保険料の負担軽減に使われてきた積立資金が減ってきている
つまり、「事故が増えたから」というより、1件あたりのコストと運営費が上がったことが主な理由です。値上げは気持ちのよいニュースではありませんが、被害者救済の仕組みを維持するための費用でもあります。
軽自動車・バイクも値上げ|車種別の保険料早見表

値上げは自家用乗用車だけではありません。軽自動車(検査対象車)や小型二輪車も対象で、軽自動車は増額幅が乗用車よりやや大きいのが特徴です。車検のある車種の目安を一覧にまとめました。
| 車種 | 契約期間 | 現行 | 11月から | 増額 |
|---|---|---|---|---|
| 軽自動車 | 24か月 | 17,540円 | 18,660円 | +1,120円 |
| 25か月 | 18,040円 | 19,170円 | +1,130円 | |
| 37か月 | 24,010円 | 25,330円 | +1,320円 | |
| 小型二輪車 | 24か月 | 8,760円 | 9,640円 | +880円 |
| 25か月 | 8,910円 | 9,800円 | +890円 | |
| 37か月 | 10,630円 | 11,660円 | +1,030円 |
※離島以外(沖縄県を除く)の目安。出典:JAF Mateなどの公開情報をもとに作成。
軽自動車の24か月契約は、現行17,540円が18,660円になり、乗用車(18,560円)との差がほとんどなくなります。「軽だから自賠責も安い」という感覚は、これからは通用しにくくなると考えておきましょう。
沖縄・離島、原付・軽二輪は別料金
沖縄県や離島は別の料金表になります。また、車検のない原付や軽二輪(250cc以下)は、契約期間の選び方や保険料が車検のある車とは異なります。該当する方は、バイク販売店や保険会社の窓口で最新の料金表を確認してください。
車の維持費全体のなかで自賠責がどれくらいの割合を占めるかは、車の維持費は年間いくら?軽・普通車の内訳も参考になります。
10月中に車検を受ければ安い?「保険期間の始期」が分かれ目

値上げのニュースを見て、「10月のうちに車検を済ませれば旧料金で済むのでは?」と考える方は多いと思います。結論から言うと、基準になるのは車検を受けた日ではなく、自賠責の「保険期間の始期」です。新料金が適用されるのは、2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約です。
車検の満了日とのズレに注意
継続車検の自賠責は、現在の車検の満了日の翌日が始期になるのが一般的です。たとえば車検の満了日が11月15日の車を10月中に車検に出した場合、自賠責の始期は11月16日以降となり、新料金が適用される可能性が高くなります。逆に、満了日が10月中の車であれば、旧料金のまま更新できるケースがあります。「早く受ければ安くなる」と一律には言えず、自分の車検証の有効期間の満了日と、整備工場から案内される始期を確認することが大切です。
慌てて前倒しするのは得とは限らない
車検は満了日の1か月前から受けられ、早く受けても次回の満了日が変わらない仕組みになっています。そのため、期限内に収まる範囲で前倒しするぶんには問題ありませんが、差額はわずか910円程度(乗用車24か月の場合)です。次のようなコストは、差額よりはるかに大きくなる可能性があります。
- 混雑する時期に慌てて予約し、整備内容を十分に確認できない
- 家計の資金繰りが合わない月に、車検費用(数万円〜十数万円)を前倒しで払うことになる
- 車検費用の積立が足りていない状態で、カードのリボ払いなどに頼ってしまう
節約のために家計の計画を崩しては本末転倒です。お金の準備が整っているかを優先して、車検の時期を決めましょう。車検費用の全体像は車検費用の相場は?軽・普通車の総額目安と内訳で確認できます。
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自賠責は「特別費」|車検・新車購入のタイミングで一気に出ていく

特別費とは、毎月は発生しないものの、年に数回、あるいは数年に一度まとまって出ていく出費のことです。自賠責保険料は、まさにこの代表例です。車検の月には、自賠責のほかに自動車重量税、印紙代、整備費用などが重なり、総額で10万円前後になることも珍しくありません。
家計簿で毎月の固定費として管理していると、車検の月だけ急に赤字になる原因になります。自賠責を含む車関連の出費は、年間の特別費としてスケジュールに載せておくと安心です。
| 出費 | 発生する月・タイミング | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 自賠責保険料(乗用車・24か月) | 車検の月(2年ごと) | 18,560円(11月〜) |
| 自賠責保険料(新車・37か月) | 新車購入時(3年ごと) | 25,180円(11月〜) |
| 自動車税(種別割) | 毎年4〜5月 | 排気量により異なる |
| 車検の諸費用・整備費用 | 車検の月(2年ごと) | 車種・整備内容により異なる |
| 任意保険(年払いの場合) | 契約更新月 | 年代・等級により異なる |
※金額はすべて目安です。自賠責は離島以外(沖縄県を除く)、自家用乗用自動車の場合。
自賠責は毎月いくら積み立てればいい?
積立の考え方はシンプルで、「必要な総額÷貯める月数」で出せます。11月以降の料金で試算すると、次のとおりです。
- 乗用車の継続車検(24か月):18,560円 ÷ 24か月 = 毎月約773円
- 軽自動車の継続車検(24か月):18,660円 ÷ 24か月 = 毎月約778円
- 乗用車の新車購入時(37か月):25,180円 ÷ 37か月 = 毎月約681円
自賠責だけなら毎月800円弱、1年で約9,300円という計算です。ここに自動車税や車検の整備費用、任意保険を足して「車の特別費」としてまとめて積み立てると、車検の月に慌てずに済みます。積立額の出し方は特別費は毎月いくら積み立てる?世帯別の目安と失敗しない計算方法、年間のスケジュールの作り方は特別費の年間スケジュールの作り方で解説しています。
車の買い替えも視野に入れている方は、車の買い替え費用はいくら?頭金・諸費用の目安もあわせてご覧ください。
自賠責が切れていたらどうなる?無保険・期限切れのリスクと罰則

自賠責保険は、加入していない状態(無保険)や、期限が切れた状態で運転することが法律で禁じられています。「うっかり更新を忘れていた」という場合でも、運転すれば違反になるため注意が必要です。
無保険運行の罰則
自賠責保険に加入せずに車やバイクを運転した場合(無保険運行)は、自動車損害賠償保障法により1年以下の懲役または50万円以下の罰金の対象になります。さらに、道路交通法上の違反点数も重く、免許停止の処分を受けることになります。また、加入していても自賠責の保険証明書を車に備え付けていない場合には、30万円以下の罰金の対象となります。罰則の詳細は変更されることがあるため、最新の内容は国土交通省や保険会社の案内で確認してください。
期限切れだと車検にも通らない
自賠責保険に加入していないと、車検を受けることもできません。つまり、車検と自賠責の更新はセットで考える必要があります。値上げ前後の時期は窓口が混み合うこともあるため、車検証の有効期間の満了日をカレンダーに入れ、2〜3か月前には整備工場へ連絡するくらいの余裕が安心です。
うっかりを防ぐ家計のしくみ
期限切れの多くは、「次の車検がいつか把握していない」ことが原因です。家計管理の面でも、車検の月が分かっていれば、その月までに必要な金額を準備できます。年間の出費を一覧にして見える化する方法は特別費の内訳と一覧表|6グループの項目・発生する月・目安金額【印刷用つき】が参考になります。
事故の被害者になったときや、加害者になってしまったときのためにも、自賠責はもちろん、任意保険の内容を定期的に見直しておくことをおすすめします。
自賠責保険料の負担を軽くするコツ|やってよいこと・やれないこと

自賠責の保険料は全国共通の基準で決まっているため、割引キャンペーンなどで安くすることはできません。そのうえで、家計としてできる工夫は次の3つです。
1. 契約期間の選び方を知っておく
同じ車でも、契約期間を長くするほど、1か月あたりの保険料は割安になる仕組みです。乗用車の場合、24か月(18,560円)なら1か月あたり約773円、37か月(25,180円)なら約681円です。新車購入時に37か月分を払うのはこの仕組みによるものですが、継続車検で車検の有効期間より長い契約を自由に選べるわけではありません。契約期間は、車検の有効期間に合わせて決められるのが原則です。
2. 車の台数・使い方を見直す
自賠責は車1台につき1契約が必要です。家族で2台目、3台目を持っている場合、台数を減らせば、自賠責をはじめ、自動車税や車検費用、任意保険がまとめて減ります。使用頻度の低いセカンドカーは、カーシェアやレンタカーとの比較も検討する価値があります。車の維持費全体の見直し方は特別費を節約する方法7選|削れる出費・削れない出費の見分け方でも紹介しています。
3. 「払うときに困らない」ことを最優先にする
自賠責のように削れない出費は、安くする工夫より払う月に困らないよう準備しておくことが最も効果的な対策です。年間の特別費をまとめて「毎月いくら」に直し、ボーナスに頼らずに貯める方法は特別費はボーナスなしでも貯められるにまとめています。
反対に、してはいけないのは「保険料を節約するために自賠責に加入しない」「期限切れを承知で乗る」ことです。罰則だけでなく、事故を起こしたときに被害者への補償や自分自身の賠償責任が重くのしかかり、家計に大きな打撃を与えるおそれがあります。
自賠責保険料でよくある質問

Q. 自賠責保険料の値上げはいつから?
2026年11月から(11月1日以降に保険期間が始まる契約)です。手続きの日ではなく、保険期間の始期で判断される点に注意してください。
Q. 値上げ幅は全車種で同じ?
全車種の平均で6.2%の引き上げですが、車種や契約期間によって増額幅は異なります。たとえば乗用車の24か月は+910円(約5.2%)、軽自動車の24か月は+1,120円(約6.4%)です。
Q. 自賠責保険は誰でも同じ金額?
同じ車種・同じ契約期間であれば、保険会社や代理店によって金額は変わりません。年齢や等級による割引・割増はなく、任意保険とは仕組みが異なります。
Q. 自賠責と任意保険、どちらか1つでよい?
自賠責は法律上の義務、任意保険は上乗せの備えです。自賠責だけでは物損や自分のケガ、高額な賠償に対応できないため、両方に入るのが一般的です。
Q. 家計ではどう管理すればいい?
自賠責は2年・3年に一度の特別費として、「年額÷12」の考え方で毎月少しずつ積み立てておくと、車検の月に家計が崩れにくくなります。
Q. 保険料が払えないときはどうする?
自賠責は加入が義務で、未加入では運転も車検もできません。支払いが厳しいときは、早めに整備工場や販売店に相談し、支払い方法やスケジュールの調整を検討してください。生活全体の見直しが必要な場合は、お住まいの自治体の相談窓口などの利用も考えましょう。
まとめ|値上げ前後の保険料を特別費に組み込もう

最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 自賠責保険は全車に加入義務のある強制保険で、補償は相手方の人身損害に限られる
- 2026年11月から全車種平均6.2%の値上げ。乗用車の24か月は17,650円→18,560円(+910円)
- 値上げ前後の判定は車検の日ではなく「保険期間の始期」。前倒しは差額が小さいため、家計の準備を優先する
- 無保険運行は1年以下の懲役または50万円以下の罰金の対象。期限切れでは車検も受けられない
- 自賠責は車検・新車購入時にまとめて出る特別費。毎月約700〜800円の積立で備えられる
値上げ幅は1回あたり1,000円前後と、一度に見れば小さな金額です。しかし車の維持費は、自動車税・車検・任意保険・ガソリン代と、小さな値上げが重なって家計にじわじわ効いてきます。だからこそ、「いつ・いくら出ていくか」を年のはじめに見える化し、毎月少しずつ備えることが、値上げのたびに慌てない一番の対策です。
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参考:金融庁「自動車損害賠償責任保険審議会」(2026年4月30日)、JAF Mate「自賠責保険料が2026年11月から値上げ」ほか。最新の保険料・制度は、国土交通省、金融庁、各保険会社の公式情報をご確認ください。
※本記事は家計の計画・見える化を目的とした情報提供であり、金融商品の勧誘や投資助言ではありません。掲載の金額はすべて目安です。

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